文書作成日:2023/12/05

2024年4月から変わる有期労働契約の更新上限に関する事項

2024年4月から労働条件の明示ルールが変わり、すべての労働者に対し、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりますが、これ以外にも、有期契約労働者に対して新しく追加される明示事項があります。そこで今回は、追加される更新上限に関連する事項についてとり上げます。

[1]更新上限の明示事項
 パートタイマーやアルバイト、契約社員などの有期契約労働者について、「契約期間は通算4年を上限とする」、「契約の更新回数は3回まで」といった更新上限を設定しているケースがありますが、このように更新上限を設定しているときは、2024年4月から労働条件通知書にこの更新上限の明示が必要になります。
 実際に記載する際に、労働契約の当初から数えた回数を記載するのか、残りの契約更新回数を記載するのかなど対応に迷うことがありますが、記載方法は、労働者と会社の認識が一致するような明示となっていれば差し支えないとされています。例えば、契約の当初から数えた更新回数または通算契約期間の上限を明示し、その上で、現在が何回目の契約更新であるか等を併せて示しておくと、認識のズレを避けることができるでしょう。

[2]更新上限を新設・短縮する場合の説明事項
 現在締結している労働契約には更新上限を設定していないものの、何らかの理由があり今後について、更新上限を新設するといったケースもあり得ます。例えば、当初予定していた出資が受けられず、担当してもらう予定の事業を縮小することになったため、更新上限を設定するケースや、通算契約期間の上限を5年としていたが3年に短縮したいといったケースなどが考えられます。このような更新上限を新設・短縮しようとする場合には、その理由を労働者に説明することが必要になります。
 説明方法については、文書を交付して個々の労働者ごとに面談等により説明を行う方法が基本とされていますが、説明資料を交付する方法や説明会を行う等の方法も考えられます。会社としては、労働者に対して分かりやすく説明することが求められます。

 有期契約労働者の労働条件通知書については、以前から明示が必要となっている雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口の項目が漏れているケースが見受けられます。この機会に、ひな形に不備がないか点検し、問題があれば改善しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

戻る



年休の取得率 初めて60%超え2023/11/28
事業主の証明により円滑化される被扶養者認定2023/11/21
厳格な運用が求められる変形労働時間制2023/11/14
2024年4月から変わる労働条件「就業場所・業務の変更の範囲」の明示ルール2023/11/07
最低賃金引上げに伴い賃上げに取り組む企業への公的支援2023/10/31
今年も11月に実施される過重労働解消キャンペーン2023/10/24
協会けんぽの被扶養者資格の再確認2023/10/17
12月から始まるアルコール検知器によるアルコールチェック2023/10/10
厚生労働省が乗り出した扶養の壁対策2023/10/03
時間単位年休と子の看護休暇等の時間単位の取扱いの違い2023/09/26
過去最大の引上げ幅となった2023年度の最低賃金2023/09/19
2022年度の労基署による賃金不払事案の指導金額は121億円2023/09/12
改めて見直したい永年勤続表彰金の社会保険の取扱い2023/09/05
マイナンバーカードでの被保険者確認と窓口における対応2023/08/29
厚労省審議会から示された最低賃金額改定の目安〜全国加重平均は1,002円へ2023/08/22
こども未来戦略方針から見る今後の社会保険制度の変更2023/08/15
労働基準監督署の「定期監督等」における違反件数が多い項目2023/08/08
増加する精神障害の労災支給決定件数 求められるハラスメント対策2023/08/01
長時間労働者に対して求められる労務管理2023/07/25
2024年4月から変わる求人を行う際の労働条件の明示ルール2023/07/18
解雇を実施する際の留意点2023/07/11
正式決定された「こども未来戦略方針」と企業への影響2023/07/04
過去20年間で最多となった休業4日以上の死傷者数と第14次労働災害防止計画2023/06/27
ハローワークを通じた障害者の就職件数 コロナ禍以前と近い水準に2023/06/20
治療と仕事の両立支援を検討する際のポイント2023/06/13
高年齢者・障害者雇用状況報告を行う際の確認事項2023/06/06
年次有給休暇の平均取得率 50%〜75%未満が4割2023/05/30
36協定を遵守するための実務上の注意点2023/05/23
今後の最低賃金引き上げの方向性2023/05/16
2024年4月から変わる労働条件の明示ルール2023/05/09
今後多くの制度変更が予定される障害者雇用2023/05/02
今年も4月より始まった「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン2023/04/25
就職氷河期世代の募集・採用と助成金2023/04/18
活用したい厚生労働省の「働き方改革を進めるためのお役立ちリンク集」2023/04/11
大幅な引上げとなる障害者の法定雇用率2023/04/04
2023年4月より50万円に増額される出産育児一時金2023/03/28
2023年度の雇用保険料率と雇用保険の給付概要2023/03/21
衛生委員会をより効果的な場にするためのポイント2023/03/14
3月分以降の協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率2023/03/07
2024年4月から適用となるトラック運転者の時間外労働の上限と改善基準告示2023/02/28
従業員が退職するときの申出時期と年休の取得2023/02/21
36協定にまつわるよくある質問2023/02/14
人材開発支援助成金に創設された「事業展開等リスキリング支援コース」2023/02/07
民間企業の障害者実雇用率 過去最高の2.25%の実績2023/01/31
2023年4月から中小企業も対象となる月60時間超の割増賃金率引上げへの対応2023/01/24
年次有給休暇の取得義務にまつわるよくある質問2023/01/17
36%の企業が同一労働同一賃金問題に未対応2023/01/10
常時雇用労働者の定義・カウント方法2023/01/03
2023年1月から変更となる協会けんぽの申請様式2022/12/27
12月2日より拡充されたキャリアアップ助成金2022/12/20
12月以降の雇用調整助成金と小学校休業等対応助成金の内容2022/12/13